スマホがブルッと震える、悠音からだ。


『お弁当、持っていくの忘れてたよ』


……あ、たしかに持った記憶ない。
机にかけたカバンを見ても、入っている気配はない。


『ごめん』
『お昼、中庭でいい?』
『ありがとう』


あー、やば。


「……幸せすぎる」


ボソッと呟いた俺をまた不審な目で見られた。






◇ ◇ ◇






思ってた通りだった。
マネージャーは悠音だけ。
先輩マネもいないから、ほんとに悠音だけ。
これで部活中は悠音が心配することはない。


……あくまでも、悠音だけ。
俺はこの大量の男たちと話す悠音を見て、でも俺がお願いしたことだから、我慢しなくちゃなんない。
悠音……。


パチっと目があった。
顧問の隣に並ぶ悠音。
口パクで“だいじょうぶだよ”


……うん、悠音は、俺だけだよね。


連絡先交換、悠音は俺伝いでグループに招待した。
悠音は何件か来た個人の友達登録を全部、スクショしてそのまま放置する旨を俺に送ってきた。