澄んだ空気が上へと上っていくその感覚に、俺は呼吸を整えた。


初めて出会った時から何一つ変わらない彼女の最期は、彼女らしかった。


もう袖を通すことの無いこの制服を、指先でゆっくりと撫でた。


彼女と一緒の学校に入るため、いつも彼女の傍にいるためただそれだけで突き進んできた。


周りの人間関係など、俺には一切関係ない。


『約束』を守るためだけに俺は動いていた。


ーーはずだったのに。


彼女が笑うだけで、何故か胸が苦しくてこの笑顔を守りたいそう思うようになっていった。


そのいらない感情はいつか自分を苦しめる、そう教わってきていたのに。


彼女の命を、真っ直ぐに送り出すために俺はここにやってきたというのに。



『いいかい。死神はいつだって死者である人間に寄り添わなければいけないんだ。そして幸せであったと思いながら成仏し、その魂を天へと迷わずに送り出さなければいけない』



切なそうにそう教えた父親の言葉が全て正しいとそう思って、彼女との約束を守り幸せを壊さないようにしていた。


一つだけ願いを叶えて最期まで幸せであれるように、彼女と約束を交わした。



「最期に一人ぼっちなんか嫌。傍にいて欲しいの。だから……どんな時も傍にいてね」



指切りという人間界の口約束の定番だというものを交わし、俺は彼女との約束を守るということを決意した。