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寺に行く途中、あたしたちは花屋によって百合の花を数本購入した。


真っ白な百合の花は空に浮かぶ雲のようで見ていると清々しい気分になれた。


「ちょっとひっかかることがあるんだよなぁ」


先頭を歩く広貴が呟いた。


「ひっかかること?」


「あぁ。学校から出た時に調理室の辺りを確認してみたんだ。調理室の隣ってなにもないだろ? それなのに、部屋1つぶんくらいの壁があったんだよな」


広貴が頭をかきながら言う。


「それって、あの場所に本当に亜香里ちゃんの部屋があるってこと?」


「わからない。でも何もない空間に分厚い壁があるだけだとも、思えないだろ」


「調理室の倉庫とかじゃなくて?」


怖いのか、杏美が割って入って来た。


「それは違うと思う。倉庫なら入口がどこかにあるはずだもん」


あたしはそう答えた。


調理室の中には倉庫へ向かうようなドアはない。