「武! 今日もお弁当を作ってきたんだよ。昨日のお弁当よりもずっと上手にできたと思うんだぁ」


弾けるような笑顔と共にそう言い、両手でお弁当箱を差し出す。


武は眉を寄せてそれを見つめている。


「お、宇野さんの手作り弁当? いいなぁ武! 可愛い子に作ってもらえて!」


武の友人たちがはやし立てるので、あたしは照れて俯いてしまった。


「すでに愛妻弁当かよ、宇野さん俺にも作って!」


「愛妻弁当だなんて……」


本当はその通りになんだけど、実際他の人から言われると嬉しくなってしまう。


「悪いけど、俺今日も食堂だから」


武は冷たい声で言い、財布を持って立ち上がった。


「なんだよ武。食堂なんかで食べるなら、お弁当にすればいいだろ」


「そうだぞ! せっかく宇野さんが作ってきてくれたんだろ!」


友人たちからの言葉に、うっとおしそうに顔をしかめている。


なんだか武が悪いみたいに聞こえてきて、あたしも顔をしかめた。


「食堂に行くなら仕方ないね。じゃあこれは、放課後にでも食べてね」


あたしはそう言い、強引に武の机の中にお弁当箱をねじ込んだのだった。