武の世話は糞尿にまで及んでいたけれど、全く苦痛ではなかった。


これは武が今も元気に生きているという証拠なのだ。


そう思うと、嬉しいくらいだ。


掃除するのは少し大変だけれど、親が寝静まった後に武の衣類を手洗いしている時間は幸せだった。


好きな人の役に立てていると実感できるのだ。


洗濯した衣類はすべて自分の部屋の窓際に干した。


さすがに、ベランダ等に干すことはできない。


「今度新しい服を買ってあげるからね」


乾いた洗濯物をたとみながら、あたしは武へ行った。


武は申し訳なさそうな表情をしている。


いつもの日常を過ごしていたときに、あたしのスマホが震えた。


画面を確認すると智樹からの着信であることがわかった。


一瞬無視してしまおうかと思ったが、智樹はあたしの協力者であり、秘密を共有している仲である。


無下にはできなかった。