ママの手料理

｢まあなんて言うか、この子の事は家政婦とか召使いとか、そんな感じに捉えてもらえれば大丈夫｣


湊さんにそう言われ、はい、と言いながら、私は彼女に向かって軽く頭を下げた。



そして。


｢私は、｣


最後に、私の自己紹介が始まった。


皆の視線を感じる中、私は座ったままで口を開く。


｢私は、15歳、高校1年生の丸谷 紫苑です。……もう分かっていると思うんですけど、私は2度家族を亡くしていて……。今はまだ引き取り先が居ないみたいだし、お葬式も参加出来ないみたいなので、少しだけお世話になります。宜しくお願いします｣


深々と頭を下げると、


｢宜しくねー！｣


｢紫苑ちゃんって呼ぶね、もうこれは決定事項だから｣


｢あ、同い年なので僕に敬語使わないで大丈夫です｣


何処からともなく拍手が起き、何とあの琥珀さんも面倒臭そうに左手で右腕をゆっくり数回叩いて拍手もどきをしてくれていた。


｢えっ…あ、ありがとうございます、｣


私が驚きながらそう言うと。


｢はい、という事なので紫苑ちゃんは短期間だけどうちの家族になったから、皆そういう事で把握宜しくね。…あ、本当は後1人家族が居るんだけど、今はどっか行っちゃってるみたい。その人には帰って来たら自己紹介させるから、ちょっと待っててね｣