ママの手料理

「痛くしないでください、……でも、何で…?」


どうして、今まで殺したいと喚いていた人が私を助けようとしているのだろう。


これも、実は作戦の一部だったりして。


そう考えていた私は、思わず質問を投げかけてしまった。


「何でって何?そりゃあ君には大量の保険金がかけられてるからね!それゲットして豪邸に住みたいし!女の所に入り浸るのも最高だなあ…って何俺最高天才じゃーん!」


目を輝かせながらそう叫んだ彼は、すっとスマートフォンを見せてきた。


そこには、


『俺も、ニューと同じでこんな所に居たくない。
mirageと君が羨ましい。』


と書かれていた。


「え、」


しかし、その文章はすぐに削除され。


「え?何?…トイレ行きたいの?嘘、漏らしそう!?仕方ないなぁ…おいでおいで、トイレ行こ!」


わざとらしく大声を出した彼は私の手をむんずと掴んで立ち上がり、私を半ば引きずるようにしてドアを開けた。



「…何処へ行かれるのですか?」


ドアの真横には、見張り役として付いていたのか、2人の屈強な容姿の男性が立っていた。


見るからに強そうだから、この人達も幹部の内の1人なのかもしれない。


「ちょっとトイレに……ってこんな事まで言わないといけないわけ?恥ずかしいから今すぐお前の事殺したいんだけど」