俗に言うカブリツキ……

 全裸になった踊り子が、様々なポーズを取り、男達の妄想と欲情を掻き立てようとする場所。

 ある意味、ストリップの見せ場だ。

 この見せ場に至る迄は、綺麗に着飾った衣装を着ている訳だが、脱ぎの見せ方も一つの芸になる筈なのに、多くの踊り子はそれを疎かにしている。

 姿月のステージを思い返しながら気付いた。

 いつの間に脱いだんだっけ……?

 ストリップ……

 裸を見世物にした世界だが、かといって最初から素っ裸で登場して来たのでは味も素っ気も無い。

 ベテランの踊り子になると、脱ぎの場面で客席をシーンと黙らせる。

 デビュー仕立ての若い踊り子ではそうは行かない。

 又、脱ぎ方がまるで違う。

 色っぽさ、妖艶さ、なまめかしさを表現してくれる踊り子と出会うと、照明自体が無意識のうちに変わる。

 踊り子に乗せられるとでも言えばいいのか。

 裸になった姿月をもう一度頭の中に思い浮かべる。

 情欲……

 彼女はそれを全身で表現しようとしていた。

 と、僕は勝手にそう受け止め、次のステージへ想い馳せていた。