「珍しいですね。桜井さん、お弁当も結構作ってきたりするし、仕事帰りはコンビニじゃなくてスーパー派かと思ってました」
「んー、そうだね。スーパーの方が多いかも。でも、今日は仕事頑張ったなーってときとか、疲れたなーってときにはコンビニでちょっとだけ贅沢して自分のご機嫌とることにしてるの。ご褒美っていうか」
「ご褒美?」と聞かれ、うなずく。
「目の前にご褒美ぶらさげておかないと頑張れないときが結構あって。だから、帰って家事するために、コンビニスイーツをよくぶらさげてる」
自嘲するみたいに「情けないでしょ」と笑ってから隣を見て続けた。
「このミルクティーもご褒美の一部になる予定だったの。だから、ありがとう」
白坂くんは私にチラッと視線をよこしたあとで「さっき聞きました」と短い返事をした。
ストップランプが並ぶ環状線。
私がコンビニスイーツにありつけるのはまだまだ先になりそうだと諦めながら、それでもミルクティーに慰められて白坂くんの運転する車に揺られた。



