エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない


小金井さんが内見したいと希望したのは、駅近くに立つマンションの一室。九階の角部屋の玄関ドアに鍵を差し込み、ドアを開けたあと、小金井さんを中へと促した。

南側にある大きな窓からは太陽の光がさんさんと差し込んでいて、日中は電気が必要ないくらいに明るい。
いい部屋だ。

「ああ、新しいだけあって綺麗だねぇ。やっぱりいくら賃貸でも新築がいいよね。誰かが住んでいたあとっていうのは、どうも苦手でねぇ」
「そういう方は少なくないですよ。こちらのお部屋は見て頂いているとおり角部屋でして……」

部屋の説明をしようとした私を、苦笑いを浮かべた小金井さんが止める。

「あー、説明はいいよ。見たらわかるし」

あー……これはいつものパターンか、と諦め口を閉じる。ついでに、心のシャッターもピシャンと閉めた。

南側にある大きな窓に近づいた小金井さんは、外の景色をさらっと眺めたあとで、こちらを振り返った。

「それより、昨日のニュース見た? アイドルの」
「アイドル……」
「ちょっと前に話題に上がってたアイドルグループのニュースだよ。そのうちのひとりが出来ちゃった結婚するって発表したってニュース」

そういえば、ネットニュースでもトピックスとしてあがっていたのを思い出す。
結婚引退となっていたけれど、子供ができたからだったのか。詳しく見ていなかった。

「そうなんですね」と返事をすると、小金井さんに「桜井さんって、いくつ?」と聞かれる。

あまりいい気はしない質問だったけれど、「二十五です」と笑顔を作った。

こういうとき、プライベートな質問はやめてほしいと毅然とした態度をとる方がいいとは聞いたことがある。
でも、ふたりきりの状態で、もめ事のきっかけになってしまいそうな発言や態度は選ばないほうがいい気がした。