青の国と緑の国

 結局、長く続いた戦争で二つの国は滅び、人間は世界からいなくなってしまいました。





川の魚たちは言いました。

「同じ仲間同士で争い、あんな小さな子供の命まで奪う。もうあんなのは二度と見たくない。生まれ変わっても人間にだけはなりたくないものだ」



森の動物たちは言いました。

「人間ほど自分勝手で欲深く、バカな生き物はいない。これで森も平和になるだろう。いなくなって清々したわ。だが、争いに巻き込まれた町の人たちはかわいそうだったな」





人間がいなくなったことで戦争はなくなりました。

もう戦争で誰かが悲しむことはありません。

誰かが戦争に巻き込まれることもありません。

大切な人を失うこともありません。





 いつものように空いっぱいに広がる青空を白い雲がゆっくりと泳ぎ、太陽はサンサンと輝きながら暖かい光を地上に届けています。

人間がいないこと以外、いつもと変わらない世界がそこにはありました。

シアン草原の大きな木が二人の遊ぶ声が聞こえなくなった広い草原をどこか寂しげに見下ろしていました。