そんなある日のこと――。
二つの国で戦争が始まろうとしていました。戦争とは国同士の喧嘩のことです。
しかし、二つの国の王が直接戦うことはありません。実際に戦うのは王の手下の兵士たちと、町に住む大人の男たちでした。
決戦場として選ばれたのはシアン草原。両軍が草原で睨み合っています。
そんなことになっていると知らされていなかったケティとアランはいつものように家から抜け出し、シアン草原で大人たちには内緒で遊んでいました。
最初にいつもとは違う様子に気づいたのはアランでした。
「ねぇ、あれって兵士さんかな?」
アランが指をさした森の前には緑色に輝く鎧を着た大勢の兵士が立っていました。手に剣と盾を持った兵士や、銃を構える兵士がたくさんいます。
「あっちにもいる!」
そう言って、今度は白い橋の前にいる大勢の青い鎧の兵士を指さしました。その手には緑の国の兵士と同じような武器を持っています。
「ほんとだ。もしかして、私たちのことバレちゃった?」
「うーん……バレてないと思うんだけどなぁ」
「じゃあ、なんであんなとこに兵士さんがいっぱいいるの?」
アランはその場でしばらく考え込んでから、思い出したように言いました。
「喧嘩、じゃないかな。国同士で喧嘩することがあるって、兵士さんはそういうことになっても国を守れるように、いつも厳しい訓練をしてるんだぞって、パパに聞いたことがある」
「喧嘩なら止めなきゃ!国同士で喧嘩なんて絶対ダメだよ!!」
「でも、どうやって止めるの?」
「ママが言ってた。どんな人も同じ人なら話せば分かってくれるって。喧嘩して相手を暴力で傷つけるのだけは絶対ダメだって。だから、兵士さんたちも話せば絶対分かってくれる!だって、兵士さんは正義の味方だもん」
「うちのパパも言ってた!兵士さんは正義の味方なんだぞって」
「私たちで喧嘩止めよう!私は橋の前にいる兵士さんたちに話すから、アランくんは森の前にいる兵士さんたちをお願い!」
「うん、分かった!」
二人は二手に分かれて走り出しました。空はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうです。遠くでゴロゴロと雷が鳴っていました。
二つの国で戦争が始まろうとしていました。戦争とは国同士の喧嘩のことです。
しかし、二つの国の王が直接戦うことはありません。実際に戦うのは王の手下の兵士たちと、町に住む大人の男たちでした。
決戦場として選ばれたのはシアン草原。両軍が草原で睨み合っています。
そんなことになっていると知らされていなかったケティとアランはいつものように家から抜け出し、シアン草原で大人たちには内緒で遊んでいました。
最初にいつもとは違う様子に気づいたのはアランでした。
「ねぇ、あれって兵士さんかな?」
アランが指をさした森の前には緑色に輝く鎧を着た大勢の兵士が立っていました。手に剣と盾を持った兵士や、銃を構える兵士がたくさんいます。
「あっちにもいる!」
そう言って、今度は白い橋の前にいる大勢の青い鎧の兵士を指さしました。その手には緑の国の兵士と同じような武器を持っています。
「ほんとだ。もしかして、私たちのことバレちゃった?」
「うーん……バレてないと思うんだけどなぁ」
「じゃあ、なんであんなとこに兵士さんがいっぱいいるの?」
アランはその場でしばらく考え込んでから、思い出したように言いました。
「喧嘩、じゃないかな。国同士で喧嘩することがあるって、兵士さんはそういうことになっても国を守れるように、いつも厳しい訓練をしてるんだぞって、パパに聞いたことがある」
「喧嘩なら止めなきゃ!国同士で喧嘩なんて絶対ダメだよ!!」
「でも、どうやって止めるの?」
「ママが言ってた。どんな人も同じ人なら話せば分かってくれるって。喧嘩して相手を暴力で傷つけるのだけは絶対ダメだって。だから、兵士さんたちも話せば絶対分かってくれる!だって、兵士さんは正義の味方だもん」
「うちのパパも言ってた!兵士さんは正義の味方なんだぞって」
「私たちで喧嘩止めよう!私は橋の前にいる兵士さんたちに話すから、アランくんは森の前にいる兵士さんたちをお願い!」
「うん、分かった!」
二人は二手に分かれて走り出しました。空はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうです。遠くでゴロゴロと雷が鳴っていました。