遅れて稽古に来た深月は、
どうしよう。
完全にこの人、私の彼氏扱いになってるが……と思っていた。
そして、万理さんたちが支社長に群がっている……。
「やだーっ。
ほんとに、すっごいイケメン!
何処の漁師さんなの?」
「は? 漁師さん?」
と深月は訊き返したが、そこで、さりげなく則雄に肩を突かれる。
「深月、彼氏があんなデカイ会社の支社長ってのは黙っとけ。
こいつら群がるから」
と則雄は小声で言ってくる。
いや、すでに群がっているうえに、兄に夢中なはずの人や人妻も居ますけど。
何故か新たにやってきたイケメンを見ようと、おじさんたちも集まり出す。
「おっ、あのとき、深月と張り合うように呑んでたイケメン!」
と誰かが言った。
あのふるまい酒の夜のことを記憶している人間が居たようだ。
そ、そのときのことを聞きたいっと思ったとき、
「深月」
と清春が声をかけてきた。



