好きになるには理由があります

 清春がそう思ったとき、万理たちが、
「ちょっと電話しちゃおー」
と言って、スマホから深月に電話し始めた。

「深月。
 今、何処ー?」

 稽古に遅れているからかけてきたのだと思っているらしい深月が、
「今着きますー」
と叫んでいるのが聞こえてくる。

 いや、そいつら、お前の彼氏とやらを早く見たいだけだぞ、と思っているうちに、近くまで来ていたらしい深月が、

「着きましたーっ」
とスマホを耳に当てたまま、ホールの扉を開けた。

 その後ろに、なるほど、コートとスーツがよく似合うガッシリした体格のイケメンが立っていた。

 こいつ、こういう顔が好みだったのか、と清春はマジマジと男を見つめる。

 彫りの深いイケメンだ。

 自分とは対照的な顔だな、と思ったとき、男と知り合いらしい何人かが、

「おっ、陽太じゃないかっ。
 お前、深月と付き合ってたのかっ」
と声を上げていた。

 陽太は愛想よく、
「お久しぶりです」
と彼らに挨拶しているが、ホールの中を見回しながら、なにやら不安げだ。