「すみません、支社長。 クリップ忘れました」 と、それがどうした、と言われそうなことを言いながら、深月が支社長室に入ったとき、陽太は書類を手に立ち上がり、なにかをしようとしていた。 「……クリップがどうした」 と何故か、少し赤くなって言ってくる。 「クリップ、この間、お前持ってきたろう」 と早口に言う陽太に、 「いやいや、それは此処に戻ってくる言い訳でして」 と言いながら、深月は窓際に居る陽太のところまで行くと、その手をつかんだ。 陽太がびくりと身を引く。