「沙月!」


「おはよう麗衣。昨日もすごいものに遭遇しちゃったんだね」


「そうなんだよね。佑里香はあのアプリのせいじゃないかって心配してるんだけどね」


「アプリのせい? どうして?」


首を傾げてそう聞く沙月に、行き場所をアプリに教えてもらったことを伝えた。


「そんなのただの偶然だってば」


あたしの言葉に沙月は笑いだしてしまった。


「そうだよね。アプリが事故が起こるかどうかまで予測できるわけないよね」


「そうだよ? それに、あのアプリを使っているのは麗衣たちだけじゃないもん。あたしも、他のクラスメートだって使ってる。だけど事故現場に居合わせたことなんて1度もないよ」


沙月に笑いながらそう言われると、なんだかホッとする。


あたしたちより先にアプリを使っている沙月が偶然だと言うなら、それが正しいと思えた。