「でも、人が暮らしてる感じじゃないね」


家を見上げて香菜美が言った。


確かに、家の横にある駐車場には車も止まっていないし、物音も聞こえてこない。


今留守にしているという雰囲気ではなく、何年も家が使われていない様子だった。


あたしは玄関前に立ち、チャイムを鳴らした。


ボタンを押してみても中からチャイムの音が聞こえてこない。


何度やってみても、同じだった。


チャイムが壊れているか、電池切れなのだろう。


それを直していないということは、誰も暮らしていない可能性が高くなってしまった。


「せっかくここまで来たのに……」


達治がいなければ、ゲームについてなにか知る事もできない。


やっぱり、最後までプレイしなきゃいけないのか……。