☆☆☆

あの日輝明は捕まった。


あたしへの接近禁止命令も出されたようで、普通の日常が戻ってきていた。


でも……。


「運命の相手探しはもう終わり?」


いつもの教室内で佐恵子がそう聞いて来た。


『運命の相手』とか『赤い糸』という言葉を聞くだけで、あたしの中には恐怖心が芽生えるようになっていた。


青ざめて「やめてよ」と言うと、佐恵子は申し訳なさそうな表情になってうつむいてしまった。


「ごめん。でもまだ、傷が癒えてなくて……」


あたしはそう言って左手を見た。


小指の断面は完全にふさがれているけれど、未だに電気を通したときのような痛みを感じる時がある。