また殴られるかもしれないという危機感を忘れていた。


「お弁当もグチャグチャだけど、今日のメークもヒドイね」


輝明の言葉にあたしは絶句してしまった。


今日のメークが決まらなかったのは、輝明のお弁当を作っていたからだ。


そう言いたかったけれど、グッと我慢した。


そんなことを言ったらなにをされるかわからない。


「なにもかも完璧じゃないと、王子様の横にはいられないよ?」


輝明はそう言って、ほほ笑んだのだった。