「ね、あたしにはどれが似合うかな?」


試に輝明へそう訊ねてみた。


すると輝明は首をひねって「朱里ちゃんならどれでも似合うんじゃないの?」と、言われてしまった。


本気でそう思っていたとしても、ちゃんと選んで欲しかったと感じて落胆してしまう。


なんだか想像していたデートと違う。


佐恵子と寺島が相手なら、絶対に見せびらかすことができると思って期待していたのに。


道を歩いているだけで視線を感じることはあるけれど、それだけじゃ物足りなさを感じた。


1人で服を見ていると、楽しそうな笑い声が聞こえて来たので顔を向けた。


そこには2人で笑いあいながら服を選ぶ佐恵子と寺島の姿があった。


あたしは輝明へと視線を向ける。


女性物の服に興味はないようで、レジ前の雑貨を見ている。


あたしはそれを確認してため息を吐き出したのだった。