この高校では体育の授業を見学する生徒は、教室で課題を行うことになっていた。


今日の見学はあたしと郁の2人だ。


体育の先生は授業があるから、プリントだけを置いて行った。


「珍しいね郁。どこか悪いの?」


2人きりで残された教室内、あたしはそう質問した。


郁は出されたプリントから視線をあげて「別に」と、そっけない返事をする。


「病気……じゃないよね? 怪我とか?」


病気なら保健室に行くなり、早退するなりするだろう。


「お前には関係ないだろ!」


突然そう怒鳴られて、あたしは絶句してしまった。


驚いて郁を見つめる。


郁は目を吊り上げてあたしを睨み付けているのだ。


あたし、郁の気に障る事言った……?