☆☆☆

家の近くまで帰ってきた時、不意にあの電柱から視線を感じた気がしてあたしは歩調を緩めた。


「遙?」


「……なんか、今視線を感じた気がした」


そう言って電柱へ足を進める。


電柱の目の前まで来たとき、後ろから黒猫が一匹飛び出してきた。


「きゃっ」


悲鳴を上げて後ずさりをする。


「猫か。今どき野良猫なんて珍しいな」


璃桜が猫がかけて行った方を見てそう呟く。


「なんだ、猫か……」