生徒会役員選挙が終わったものの、忙しさは変わらない。


今度は引き継ぎのためだ。


「美月」


教室に忘れたファイルを取りに廊下を歩いていると、後ろから掛けられる声。


「洸、ごめんね。まだ終わりそうになくて」


「それはいいんだ。でも少し休んだ方がいい」


ここの所、私は毎日仕事をしっ放しで。


洸が本気で心配してくれているのは分かっていた。


帰りが遅くて白鳳の倉庫にも行けていないし。


「大丈夫だよ。早く終わらせるね」


美月はストイックすぎる。


それが相澤洸には、高潔でありながら酷く脆く見えた。


だけどその自尊心の高さから、洸に支えを求めることは無かった。