その日はそのまま倉庫に泊まり、平穏になってから迎えた初めての朝。


隣で洸が打った寝返りで、目が覚めた。


カーテンから入る光で今日は快晴だと分かる。


私の方を向いた洸がゆっくりと目を開けた。


薄く開いた目が、微笑みで曲線に歪む。


洸が隣にいるだけで、世界はこんなにも明るい。


ベッドボードに置いてある携帯を手探りで取る。


夜中のうちに届いていたメールが一件あった。


『今までごめん。


俺はこの街から居なくなるから安心して。


もう二度と会うことはないけど、俺は美月を忘れることはない。


月を見上げる度に美月を想う。


愛してる』


差出人は、加賀秀人。


無言で洸に画面を見せる。


一通り読んだ素振りを見せ、そのメールは消されることなく返ってきた。