「白鳳はどう?」


階段を登りながら話しかける。


「思ってたよりずっと楽しい!皆んな良い人だね」


「ほんと?良かった」


誰も居ない幹部室に入った。


花那は棚に飾られている歴代の幹部の写真を眺める。


そこにはついこの間撮った私たちの写真も飾られていた。


「お姉ちゃん」


花那は私に背中を向けたまま話し始める。


「私、秀人くんのこと頑張って諦める」


少し涙声で、鼻をすすった。


「花那…」


顔だけ振り向いた花那は、目に少し涙を浮かべながら笑っていた。


辛い。苦しい。その笑顔からはそんな心の声が聞こえてくる。


それでも私は、このときの花那を今までで一番美しいと思った。