「敬太!今回ばかりは本気で別れて!」

「毎回毎回、なんなんだよ?…んで?その理由は?」

「決まってるでしょ!もう私達別にカレカノじゃなくてもいいじゃない!こういう非生産的なことは嫌なの!」

「…却下だな」

「なんでよ?!」


そう食って掛かると、敬太はくくくっと喉の奥で笑って、私にこう言った。
とても、楽しげに。


「俺の気をそうやって引きたいだけだろ?」

「…っ?!」

「お見通しなんだよ、ばーか」


その勝ち誇った顔に、心拍数が一気に上がった。
気付いたら、ばしん、と敬太の頬を叩いて叫んでいる自分。


「…全然分かってない!…もういい。別れたことにする。もう終わり。敬太の彼女なんかやめるから」

「あ、おい!美依!?」


今まで見せたこともない私を見て、少しだけ動揺していたみたいだけれど、私は構わずそこから走り出した。
バタバタと廊下を走って、途中先生に注意されて、私は足を止めてからゴシゴシと目元を擦った。


瞬きすると零れてきてしまう涙。
それを、懸命に堪えて…それでも落ちてしまう雫を拭う。