【短】あなたが見えない

「敬太…」

「なんだよ」

「…っ?!」


急に声が聞こえてきて…そのまま後ろからぎゅうって抱きしめられて…胸がきゅっとした。


「敬太…」

「…だから、なんだよ?」

「……」

「泣くな、美依。…悪かったから…」

「…敬太っ…。」

「分かったから…今度こそ、分かったから…」



ぎゅう


嬉しい、嬉しい、嬉しい。
こんなにも、敬太の温もりがこの胸に愛しさをもたらしてくれるだなんて、それまで思いもしなかった。
だから。

私が、敬太のことが見えなかった分、敬太も私のことが見えなかったのかもしれない。
今なら、それがよく理解できる。