3度目に、君を好きになったとき



今、蓮先輩と手を……繋いでる?


何かの間違い、だよね。

きっと、はぐれないように面倒をみてくれている、それだけだよね。


彼の手を、握り返す勇気はなくて。

ただ優しく誘導されるまま、目的地へ進む。



ホッキョクグマ館は特に人気があり、館内の入り口は混雑していた。

途中、短い階段があって、そのたびにしっかりと手を握り直してくれる蓮先輩。

その表情は、いつもと変わらない落ち着いたもの。


「……あ。見えてきたね」


想像していたよりも大きいホッキョクグマが一匹、ガラス越しに悠々と姿を現す。

そろそろ手を離されるかと思いきや、


「足元暗いから、つかまってて」


蓮先輩は私の手を離さず、そのまま繋いでくれていた。


ほんのりと温かい、大きな手。

守られているみたいで、何だか安心する。



「……なんて。本当はただの口実だけど」


小さく呟いた言葉に耳を疑った。



口実……って。

まるで『手を繋ぎたい口実』みたいに聞こえてしまう。