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ジャルダンの窮地を救ってしまった日から五日が過ぎた夜。

セシリアは自室にて晩餐のお召し替え中である。

サーモンピンクの豪華なイブニングドレスを纏ったら、鏡台の前に座り、艶やかな胡桃色の髪をカメリーに梳かしてもらう。

王族の晩餐はいつも二十時からと決まっていて、家族のみの食事であっても着飾るのは、貴族として当然のマナーであった。


「サイドを編み込んでから、ひとつにまとめる形でよろしいですか?」と、事務的な口調で問いかけるカメリーに、セシリアは半ば上の空で「ええ……」と返事をする。

鏡に映る浮かない表情をした自分と視線を交え、心は悩みの中を彷徨っていた。


(誰かの邪魔をするのは諦めようかしら。悪い娘だと、クロードさんに思われたくないもの……)


セシリアが人助けの課題に挑む間、国王から見守り役を命じられたクロードが、よく彼女の視界に映り込んでくる。

今日も邸宅内の廊下と、階段、それと勉強を終えて図書室を出たところで見かけた。

いつもならクロードに会えた喜びに胸を熱くするセシリアであるが、見張られていると思えば困るばかり。

庭師ジャルダンの邪魔をするのは失敗したので、次のターゲットを探そうとしても、クロードに嫌われたくないという恋心が、それを思いとどまらせていた。