だからコネリーはなにかと心を尽くしてくれて、王子を政務付けにしてくれたのか。

「コネリー様のおかげで助かったことは多くあります。でも、私もあなた方を騙していたのです。本当の私は、ブラッドリー侯爵家の次女、ベリルなのです。ローガン様と賊の顔を入れ替えたというエメラルドの宝玉。それと同じものを姉のシンディが手に入れました。そして、……彼女と私の顔は入れ替わってしまったのです」

同じことが起きたのなら、簡単に信じてくれるだろうと思ってベリルは言ったが、ローガンもコネリーも眉を寄せて顔を見合わせた。

「俺とダレンの顔を入れ替えたエメラルドは、こちらで保管している。……シンディ殿はいつその魔石を手に入れたんだ? 少なくとも、初めて会ったクリスマスの日は、ベリル殿はベリル殿のままだったろう?」

「入れ替わったのは、年が明けてからです。でも……」

エメラルドのネックレスを手に入れたのは、その日の夜だ。そのとき、すでにヒューゴは宝石を手にしていたのだ。

「でも、たしかにあの宝石が光ったのです。ネックレスになっていて」

「我々が保管しているのは指輪です」

全員が顔を見回した。

「ということは、……エメラルドの宝玉は二つあるのか?」