一方、コネリーは偽ローガンを監視下に置くために必死だった。
偽のローガンの名前はダレンという。
戻せるかどうかは置いておいて、彼が王子の顔を持っている以上、処罰するわけにはいかない。
まず、王子は賊と対峙し怪我をしたということにして、数日部屋に引きこもらせた。
ダレンは栗色の髪だったため、黒のかつらを用意し、しばらく王子のふりをしたまま、賊の逮捕に協力するなら、ダレン自身の罪は軽くしてやると交渉した。
一度は頷いたダレンだったが、ローガンとして表に出ている間は、コネリーが強く出られないことに気付いた。
本物のローガンがダレンとして捕まってはまずいので、コネリーは彼を通じて得た情報を広く周知することができず、バートを通じて少しずつ追及の手を伸ばすことしかできなかった。
そのうちに、ダレンはローガンの顔を利用すれば、ある程度のことが思い通りになることに気づいてしまったのだ。
コネリーが見ていない隙を狙って、外に出たいと言ってみたり、嫁を決めようと言ってみたり、わがまま放題をはじめる。
コネリーは彼の暴走を押さえるために、つきっきりで傍にいなければいけなかった。
「……そんなわけで、シンディ様は偽王子のわがままに巻き込まれたのですよ。ですが、あなたは王太子妃としてふさわしいと思えるお方です。ローガン様が本当にローガン様の姿に戻られたとき、あなたが妻としていてくれたらそれは最上なのではないかと私は思いました。だから、王子があなたを妻にすると言ったときも、反対はしなかったのです」
「そうだったんですか」
「ええ。お守りしきれず、申し訳ありませんでした」



