ローガンは頷き、そのまま地下通路を抜けて城下町へと出た。
その足音は騎士団員たちにも聞かれ、賊はひとりで忍び込んだのだという噂が立ったのだ。
ローガンは街に出る直前で賊を取り逃がしたバートと出会う。最初、バートは賊の顔をしたローガンを捕まえようと攻撃してきたが、身をかわしながら説得しているうちに、彼は信じてくれた。バートはローガンの手合わせの相手で、彼の剣さばきの特徴をしっかり覚えていたからというのもある。
バートはローガンを連れ、城下町へと降りた。
古着を買い、潜伏するための部屋を借り、コネリーと相談して必ず城にお戻ししますと約束した。
とはいえ、バートも毎日城から抜け出していれば怪しまれるので、訪れられるのは三日に一度程度。
ローガンは慣れない一人暮らしにとても苦労した。食事の準備もこれまで自分ではしたことがなかったのだから。
ボロボロの服を身にまとって外に出て、浮浪者のふりをしながら、人の行動を見つめた。
与えられるのでなければ、人はどうやって生きていくのか。
今まで望めばすべて手に入れることができた王子は、生きるために必死に働く子供や労働者を初めて真剣に見つめたのだ。
ベリルと出会ったのも、そんなころだ。



