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ベリルはいつものように、王城の一室で教師と勉強に励んでいた。
今日は国の歴史についての話だ。
国自体は一千年以上前からあると言われているが、内乱や外敵の侵入など、さまざまな要因で支配者が変わっている。現在のクルセイド王朝になったのは百年以上前だ。現国王が六代目にあたる。
「……諸外国からの圧力に対抗するためにはまず国力をつけなければならないということで、まず法に手を加えることになりました。この時、原案を作成したのが、当時の国王の従兄にあたるアンドリュー・フック様です」
「え?」
ベリルは聞き覚えのある名前が出てきて驚いた。
「アンドリュー・フック……」
それは、孤児院で出会ったあのぼろ服の青年と同じ名前だ。
祖先や、著名人から名前をもらうことはそうおかしなことではない。
しかし、ファミリーネームまで同じということは親戚筋かなにかだろう。フック家が王家筋だとすればあんなボロボロの服を着ているのはおかしくないだろうか。
(アンドリュー。彼は一体何者だったんだろう)
知識も豊富そうだったし、ふるまいも上品だった。決してあんなボロボロの服をまとうような育ちではないはずだ。



