エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~


「今後、事件の関係者は法にそって裁いていくこととなる。だがここで問題がひとつ。俺はこの不思議な現象を、人に伝えるべきかどうか迷っているんだ。言ってもそう簡単には信じてもらえ無いだろう。だが、……このままでは俺の婚約者はシンディ殿のままだ」

ローガンは視線をシンディに向け、膝をついて視線を合わせる。

「シンディ殿。俺は、君の妹のベリル殿を愛している。彼女を妻に迎えたいんだ。だから、一度婚約破棄をしなければならないが、俺から断るのではシンディ殿の名誉に傷をつけてしまう。君のほうから断ってもらうわけにはいかないだろうか」

ベリルはぎくりとして彼と姉を交互に見つめた。
シンディは無表情のままだ。

「私から断ると、父の怒りを買いますわね。他の求婚者からならともかく、貴方様を袖にすると、なんて傲慢な娘だと言われ、今後求婚者が現れなくなる可能性もあります。私としては、王太子様からお断りを入れていただいたほうが助かります」

「姉さま」