「なるほど。まあ、それで今回の城への進入という話になったようです。ヒューゴ殿は文官であるアシュリー伯爵の補佐をしておりますから、禁書庫への入出許可を出してもらうことは可能だったと思われます。彼が城への進入方法、宝物庫の場所を調べ、計画を立て、フェンレイとダレンは実行しただけなのでしょう」
盗みに入ったダレンは、衛兵に姿を見られてしまう。
地下通路の存在は一般に知られていないというヒューゴの証言を受け、ダレンは素早さを生かして城内を逃げ回り、追っ手をかく乱した。その間、フェンレイはヒューゴに指定された隠れ場所で身を潜めていた。
予想した通り、騎士団員や近衛兵は門を中心に警備を固めたので、ダレンは再び地下に戻り、フェンレイと合流して逃げようとした。
ここでローガン達と出会い、仕方なく剣を合わせていたが、音に反応して城内で警備をしていた兵もやって来る。
このままでは逃げられなくなる、と思ったフェンレイはダレンをおとりにして逃げることにした。その際、エメラルドの宝玉をフェンレイが投げたのは、願いが叶うという逸話を聞いていたからだ。
そしてダレンとローガンの顔が入れ替わる。
「まあ、ローガン様と賊の顔が?」
事情を初めて聞くシンディは、ベリルの顔を見て目を見張った。



