姉妹の再会を黙って見守っていたローガンは、ポンと平手を打つと、穏やかに話し始めた。

「さて、ではみんなの持っている情報を共有しよう。今回のエメラルドの魔石に関わる全てを明らかにするんだ。……コネリー!」

「はい」

ローガンの視線を受け、コネリーがすっと立ち上がる。

「皆様がお仕度をされている間に、ダレンとフェンレイからは話を聞いてあります。彼らはすっかり観念している様子で、洗いざらい離してくれました。アシュリー伯爵家のヒューゴ様に関しても関与が確定いたしましたので、騎士団に要請を出し、身柄を拘束しております」

シンディがびくりと体を揺らす。ベリルは、気遣うように姉の手を握った。

「今から時系列に沿って今回の出来事をなぞっていきます。シンディ様とベリル様はご自身たちの知りえている情報を補足してください」

「はい」

「では……まず、魔石が奪われた経緯からです」

コネリーの話は、フェンレイの証言から始まった。

情報屋として下町をうろついていたフェンレイは、二年前、身なりの良い貴族の青年に声をかけられた。

『古いいわくつきの品物を扱っている店はないかな』

フェンレイは、貴族のお坊ちゃんの道楽なのだと思った。下町の闇市場には嘘か本当か分からないような噂話がついた商品など、腐るほど転がっている。
教えればヒューゴと名乗ったその青年は喜んで買い付けを頼み、手数料としてフェンレイの手元にも金が入った。
いい上客を捕まえたと、最初の頃、フェンレイは大喜びしていたのだそうだ。