「綺麗。私じゃないみたい」

「お肌も透明感があって、お化粧のし甲斐がありましたわ。とてもお綺麗です。さあ、参りましょう。ローガン様の準備も出来たかと思います」

侍女に連れられて応接間に入ったベリルは、部屋の一番奥、中央に堂々と立つローガンの姿に目を奪われた。
黒に近い綺麗な深緑の髪と、相反して色素の薄いブルーグレーの瞳。豪華な装飾が施された衣装に負けない美しさがそこにある。ダレンがローガンの顔だった時も、同じ顔であるはずなのに、与えられる印象は全く違った。

「ベリル。準備ができたのかい?」

ローガンの声に我に返り、ベリルは深々と頭を下げる。
部屋の中には、彼のほかに、コネリーとバートとシンディがいた。
シンディはベリルを見るとすぐ立ち上がり、腕を引いて自分の隣に座らせた。

「無事でよかったわ。ベリル。……ごめん、ごめんなさいね。私のせいで……」

シンディに抱きしめられ、ベリルは不思議な気分になる。
以前までの姉は、ベリルをもっと軽んじていたし馬鹿にもしていたように思う。だけど、本当に心配していてくれた様子だ。あんな危険な場所にまで迎えに来てくれたことは、本当に意外だったし衝撃だった。