「ベリル殿がこれを?」

使用人控室に来たコネリーから手紙を渡された本物のローガンは、しっかり封蝋の閉じられたそれをペーパーナイフで開けた。

「ベリル殿ではなくシンディ殿かもしれません。昨日までと明らかに雰囲気が違います」

答えは手紙に書いてあった。
エメラルドのネックレスによって、再び顔が入れ替わったと。今日城に行くのは、シンディのほうだと丁寧な字でつづられている。
ローガンとダレンの間では成功しなかったものが、シンディとベリルの間では成功していることが、ローガンには気にかかった。

「では、やはり彼女たちが持っていた魔石は盗まれたものだということだ。こうなってくると入手経路が気になるな……」

「そうですね。でもこれでベリル殿と連絡をとるのが難しくなりましたね。シンディ様に内情を打ち明けるかどうかの判断は任せるとのことですが。……どうしますか?」

「そうだな……。ベリル殿と連絡が取れないのは困る。だが、シンディ殿はそこまで信用できるのだろうか」

ローガンは、シンディに対してあまりいい印象がない。一度は回復した印象も、結局はベリルのものだった。
彼はシンディが妹をあまりにも軽んじているのが、許せないのだ。