病室に戻り父に
リンゴを剥いであげてると
【計画書】という冊子が目に入った。


「何これ?」


「計画書だよ」


「わかってるよ
そこは読めばわかりますって
何の計画書か?ってことよ」


「これからのリハビリの計画書
週に2回やるんだってよ」


「そう 頑張って」


冊子をパラパラとめくりながら
目を通した。


リハビリ担当医師名に
高橋葵と書いてあったのを見て
ドキッとした。


葵?葵?葵?
まさかね。


葵くんの苗字高橋だったっけ?
社長の娘さんだから社長とは違うし
表札見てなかったっけ?
うーん思い出せない。


いや待て!
医師でしょ?


なってるわけないじゃん
まだ学生なわけだし。


そっか そーだよ


久々聞く【葵】
名前に少しだけドキッとした。


「リハビリの先生って
高橋葵って書いてるけど男?女?」


「男だよ」


「そう。。。」


「若くてかっこいい先生だよ
お前も見たら惚れるかもしれないぞ」


「父さんの好みと
あたしの好みは違いますっ!」


「年頃の娘が居る!と
お前を推しておこうか? 」


「やめてよ!恥ずかしい
絶対やめてよね」


「いいじゃないかぁ
医師の嫁だよ?いいじゃないかぁ」


「バカなこと考えないで!
それに医師ではないじゃん
技師でしょ」


「そー言って 相手もいないくせに
誰かの世話にならないと
見つけることができないくせに」


「失礼ね!
あたしは自分で見つけますっ!
余計なお世話しないでよね!
わかった?」


「はいはい
わかりました」父はめんどくさそーに
返事をしたのだった。


久々聞いた【葵】というフレーズに
ドキドキとした。