どのくらい走っただろうか
バイクを小さな港の波止場に着けた。


「どうだった?
後ろに乗った感想」


「死ぬかと思った」
素直に思ったことを伝えた。


「死ぬってぇーあはは 大袈裟ー」


「マジマジ!
それに風切って寒かった
手だって冷たいし」


すると葵くん
私の手を取りスリスリと摩擦で
温めようとした。


さりげない仕草が
大人びてる。


今日は葵くんに
ドキドキさせられっぱなし。


私ヤバくない?
相手は高校生だよ?
しかも6つも7つも年下に。。。


「何?急に黙り込んでさぁ」


「何でもない」


「悩み事?オレに話してみて
あっ。。。オレじゃ頼りないか」


ちょっとぉ オレじゃ頼りないかとか
輪をかけないでよ
そんな大人びたこと言わないでよ。


「別に悩んだりしてないよ
ここの雰囲気が素敵すぎて
言葉にならないだけよ・・・」


ここから見る景色がすごく綺麗で
時々 嫌なことがあると
バイク飛ばして見に来るそうだ。


「萌香に見せたいって思ったから」


突然 私の名前を呼び捨てに。


「萌香???」


「え?名前違ったっけ?」


「萌香です・・・けど・・・」


「だろ?」


「だろってあたし一応年上」


その場所の雰囲気なのか
いつもの葵くんじゃなく
別物の葵くんに見える。


一言一言 角が立つような
言い方をしてたのに今日は違う。