北海道から羽田空港に降り
そこで「またね」と別々で
帰ろうとしたのに
葵くんが両親に話がしたいと
言うので車で送ってもらうことになった。


晩酌して父がもし酔い潰れてしまってたら
恥ずかしいから電話をかけた。


普段のお酒の量では
潰れる事はないと思うが
念のために。


「もしもし空港ついたよ」


「お帰り!え?
迎え頼まれてたっけ?」


「ううん違うよ」


「そう晩ご飯は?食べたの?」


「まだ ちなみに今日のご飯何?」


「ちらし寿司したんたけど
作りすぎちゃって」


「またぁ?いつもじゃん」


母はちらし寿司を作ると3人分でいいのに
いつも5人分くらい作ってしまう
美味しいから結局は次の日でも食べて
完食になるんだけどね。


「じゃあ2人分用意してて」


「2人?」


「そう2人?」


「北海道に一緒に行った友達?」


「あ。。。うん
父さんいる?」


「居るよ」


「飲んでない?」


「今日は欲しくないんだって!
珍しくない?何か病気かしら?」


「たまには休肝日もいいんじゃない?」


「うん?父さんが居るか?って
どうしたの?」


「あのさぁ 彼氏を連れて行くから」


「はい?彼氏?
あはは笑わせないでよ」


「そこ!笑うところじゃないし」


「そんな見栄張らないでいいわよ
何ちゃん?ほら学生時代から
仲が良かった
えーっと ど忘れしてるわ
その子と北海道行ってたんでしょ」


働いていた人たちに会いに北海道へ
行ってくると伝えてたときに
「1人で行くのか?」と聞かれ
「いや2人よ」と言っただけで
彼氏と行くとは言っていなかったから
母は勝手に女友達と行ったと思い込んでいる。


「彼は彼なの!楽しみにしてて
じゃあ あとでね」


「はいはい」それでも信用しない母


私の話を聞きながら運転する葵くんは
笑ってばかりだった。