「萌香を元の仕事に戻してほしい」


葵くんは社長にそう言った。


そんな話は全くしてなくて
私自身もびっくり。


「うーん そうだな
そうすることが少しでも
罪の償いになるなら」
社長は葵くんの条件をのむという。


「待って!
あたしはそれは望んでない!
今の職場にやっと慣れて来たのに
辞める気なんてないよ
ただ社長には葵くんとのことを
認めて貰ったらそれでいい」


「そう?職場の件は
萌香の言うとおりにしていいけど
オレは認めてくれただけじゃ
許せない」


「葵はワシにどうして欲しいんだ?」


「金だよ金」


「何考えてるのよ!!!
お金で解決するのはあたしが
1番嫌なことなのに!
バカなこと言わないでよ!」


葵くんの発言に私は本気で怒った
社長とおばあさまの前なのに
後先も考えずに。。。


「あ・・・社長たちの前ですみません」
謝るがすでに遅し。


「いやいや いいんだよ
葵の暴走を止めてくれるのは
小山さんしか居ないと確信したよ
で?いくら要るんだ?」


「社長!
社長も孫の言いなりにならないで下さい」


「違うんだよ
北海道を旅したいんだよ
萌香が3年暮らした場所を」


「はぁ?」もう「はぁ?」しか言葉が出ない。


「北海道への航空チケットを
じいさんが取ってくれたらそれで許す
まぁ おまけで宿も付いてたらラッキーって
なるけどね」


「そっかそっか
簡単なことだ
いつから行くか?
明日か?」


「待って下さい!
急にそんなの決められても困ります」


「日にち決めたらじいさんに連絡するよ」


「わかった」


最後は話がそれてしまったが
2人のことは認めてくれるようだ。