「当時から君達は本気だったのか?」


「そうだよ それなのに
じいちゃんの勝手な判断で切り裂かれて
オレには萌香の親が事故にあったからと
会社を辞めたとか嘘ついて
萌香にはオレが迷惑してるようなことを
言って信じ込ませて
北海道へ飛ばすとか!
よくやってくれたなって思うよ」


「あなたって人はどうしようもないわね!」


「もし偶然萌香に会わなかったら
お互い相手を恨んだままだった
オレは頭の片隅にいつも萌香が居た
居たからまた出会えたんだと思ってる
だから今度はじいさんに邪魔されたくないし
オレたちのことは口を出して欲しくないから
今日ここへきたんだ」


「そうか」
そうかと肩を落とす仕草の社長。


私を葵くんの相手だと認めたくないんだと
私はそう取った。


「佳子たちはこの事を知ってるのか?」


佳子とは葵くんのお母さんで
社長の娘。


「母さんには言ってないよ
言ってたら先にここへ怒鳴り込んで
きてたと思うよ」


「だろうな・・・」


「社長が私のことを認めたくないのは
よくわかります!
こんな私より若くてもっと
葵くんには釣り合う人が居るんじゃない?
って思われてるのも重々承知してます」


また話の途中なのに
おばあさまが「そんなことないわよ!
葵とお似合いよ
葵が選んだ人だから
まちがいないわよ」と口を挟む。


「そう言っていただいて嬉しいです
私も葵くんのことが好きで
また出会えたことに感謝してます
もう離れたくないと思ってます
だから・・・社長
こんな私ですが少しでも
認めて貰えるように努力するので
長い目で見ていて下さいませんか?」


「バカ!萌香
じいちゃんにそんな事を頼むなよ」


「だって・・・」


「そんなことより
じいさんに頼みがあるから
今日わざわざ来たんだけど?」
と言い始めた。