やっと説明は終わった。


「それでは失礼します」
ニコニコ顔の葵くんに
「ありがとうございました
先生ならきっといい先生になられますよ」
と母は褒めまくり。


「ありがとうございます
頑張ります」


「高橋先生は年はいくつだね?」
父が病室から出ようとしてる葵くんを
呼び止めた。


「僕は21になりますよ」


「21かぁ。。。」と声が小さくなる。


「何か?」


「いや 年上の女ってどうかと思ってね」


「年上ですか?」


「そう うちの娘」


「父さん!!!
やめてよ!せ・先生話し終わったなら
どーぞお引き取りください」


「こらこら萌香
テレるなって」


テレてるわけじゃない!!!


「娘さんですかぁ?
いいですねぇ
魅力感じます
でも・・・」


「でも?」


「数年前に年上の人に騙されたので
そのトラウマがちょっと」
と 私をチラッと見る。


騙された?
騙してなんかないよ!
あんたが社長に言うから!
あんたがいけないんじゃん。


「あたしの話はいいから!」
私は葵くんの背中を押して
病室から追い出した。


「騙したとかよく言うわね!
もう余計なことは言わないで
さもないとあたし
家族の言葉として病院に言ってやる!
高橋って見習いは患者に対して
冷たいだとか評判悪いだとか
そうしたらあんたの評価は
下がるわよね」


「おい!それはやめろ
将来がかかってんだぞ」


「それぐらい可愛いもんよ
あたしに比べるとね」


「萌香と比べるとって?」


「何でもないわ!
これ以上 あたしの家族に
首を突っ込まないで」


幸い廊下には誰もいなかったから
ここまで話せた。