「おい!ヤドカリ!」
声をかけてきたのは清水課長。


「ヤドカリ?」


「聞いたぞ
寝る場所探してるとか」


言ったのは かほりさんか。。。


少し笑みを浮かべて
課長は言う。


「そんな笑って言わないで下さいよ
あたしにとって一大事なんですから
そうだ!!いい考えが浮かびました」


「何だ?」


「皆さんの家を転々とさせてもらったら
なんとか1ヶ月過ごせそうですね」


「無理」
1番に言ったのは工藤さん。


「彼女ともめたくないから」って


課長も「無理 嫁ともめたくないから
お前が男なら歓迎だけどな」って。


「冗談ですよ
そんな厚かましい女じゃないです
なんとか凌いで見せますよ」


そんなことを言ってるとまた
社長に呼ばれたのだった。


「いい案があるんだが」


社長の娘宅にひと月住んでもいいって
娘夫婦は今旦那の仕事の関係で
半年前から家を留守にしているらしい。


「それこそセキュリティーの問題が」


「君を信用しているし
そんな大した家じゃないし」


「でも・・・」


「娘に連絡して社員の一大事だから
と許可は取ったから
ただし」


「ただし?」


「高校生の孫が1人で住んでるんだ
葵って言うんだけど」


高校生だから学校のこともあるし
という事でついていかなかったらしい。



「孫の勉強も見てやってくれたら
なおさらありがたいよ」


「私が勉強ですか?」


「高校レベルなら
教えられるんじゃないの?」


「・・・私にできることなら」


と 契約完了。