夕餉を食べ終えた沖田さんはお風呂へ向かった。
“皆の目が届くところに居るように”という指示を受けながら、私は庭の片隅にある池に腰を下ろした。
「あ……金魚だ」
紅白の色を纏(まと)った大きな金魚が1匹と、真っ赤な金魚が2匹いた。
親子かな。
もっと近くで見ようと前へ出ると、足を滑らせてしまった。
「きゃっ」
なかなか水に濡れる感覚がない。
誰かに支えられていると気づくのに時間がかかった。
「ぁ…………」
逞(たくま)しい腕で私を支えていたのは永倉さんだった。
「………危ないだろ。気をつけろ」
「ごめんなさい……助けてくれてありがとうございました」
「礼はいい。それより怪我、ないか?」
「大丈夫です」
「なら良かった。」
意外と優しい……?