彼は、少し考えたあと何かを思い出すように空を仰ぎ見た。



「近藤さんや土方さん、皆と同じ道を歩みたいって言うのはもちろんなんだけど……これがあの人に出来る、精一杯の事なんだ。」



「あの人?」



「僕の命の恩人だよ」



「そうなんですね。その方も新選組に?」



「ううん」



そう言った彼の顔にはどこか陰がかかっているように見えて、それ以上追求しなかった。



「君はさ、なんで一人で旅なんかしてるの?」



「旅が好きだからです」



「そうなんだ」