沖田さんは朝餉を食べ終え、部屋に戻り身支度を整えると最後に羽織を羽織った。



「それ、浅葱色ってやつですね!それと……これは……」



「だんだら模様」



「そう!それです!!素敵ですね」



「この羽織には常に死を意識して尊王攘夷に邁進するっていう意味を表してるんだよ」



「なるほど………なんか、深いですね」



「あのさ、昨日の試合、わざと負けたでしょ」



その言葉を聞くと、体がビクッと跳ね上がった。



「さー、なんのことでしょう?」



「誤魔化さないでよ」



「………だったらなんですか」



試すように沖田さんを見つめると、彼は真剣な表情で見返した。



「自分の立場、理解してるよね?」



「はい」



「ならわかるでしょ。君みたいな女の子が、僕に勝てるほど強いっていうのが知れたら、流石の土方さんでもなんて言うかわからない」



「信じられないなら拷問でもしてみたらどうですか?」



「だからそれは」



「じゃあ、殺すとか」