そう言った彼の目は冷たく、 鋭い矢のように私を射抜いた。
それを聞いた沖田さんは、顔色を変えた。
「永倉さ……」
何かを言おうとした沖田さんの前へ出て、私は永倉さんをまっすぐに見つめて言った。
「拷問ですか。いいですよ」
「ちょっと何言ってるの、」
「拷問したところで得るものはないでしょうけどね。強いて言えば……優越感?」
「てめっ……」
掴みかかろうとする永倉さんを沖田さんが止めた。
沖田さんは私に向き直ると、眉をひそめて言った。
「なんでそんな事言うの?拷問がどれほど辛いものか知ってる?」
「知ってます」
「じゃあなんで」
「私はどんな事をされようと何も言う事はありません。ですが、拷問する事でわかる事もあるかもしれませんよ」
「それどういう……」
「そこまでにしておけ」
そこへ割って入ってきたのは土方さんだった。
「副長!!なんでこんな奴を置いておくんですか!?俺達の敵かもしれないんですよ!?」
「こいつの素性がわかるまではここに置いておくつもりだ」
「だったらいっそ拷問してしまえばいいじゃないですか……この気持ち悪い表情が消えるまで」
気持ち悪い、か。そんなに気持ち悪いかなぁ。なんか悲しい。
「………だめだ。
そろそろ夕餉の時間だ。お前らも早く向かえ」
そう言い残すと私たちに背を向けて行ってしまった。
「副長……!!っ……
誰がなんて言おうと、お前の正体がわかるまで、俺は認めねぇからな。」
私をギッと睨みながらそう言い捨て、永倉さんは道場を出て行った。


