環奈サイド━━━━━━━━━━━━
三弾付きを受けた時の余韻(よいん)を手に、道場の端で黙々と打ち込みをする人を横目に見た。
道場を出ようとすると、一際図体の大きい男が私の目の前に来て腕を組んで仁王立ちした。
「聞いたぜ。お前間者かも知れねぇんだってな。ったく副長はどういうつもりなんだ!!こんな奴を野放しにしておくなんてよ」
眉間に皺を寄せ、溢れんばかりの怒りをぶつけてきた。
「大丈夫だよ永倉さん。この子の面倒は僕が見てるから。それに、変な真似したら斬るって脅してあるからね!!」
この場の雰囲気に似合わない沖田さんの声色は、更に永倉さんを苛立たせた。
「そういう問題じゃねぇ……」
「じゃあどういう問題?」
「なんでこいつを拷問にかけねーのかってんだ!!拷問しちまえばすぐの話だろ」
「女の子ですよ」
「だったらなんだ。間者なら俺達の敵だ。女も男も関係ねぇ。」


